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RURUaikon


「黒人のハリーがリトルマーメイドの主人公になって、SNSが炎上してるねんて」

darikon

「人魚やん」

RURUaikon



「そこやねんなぁ」


darikon




「黒人の成功を妬んで、邪魔ばっかりするけど、歌もスポーツも俺らが這い上がってきたのは、黒人の才能と実力やから仕方がないやん」


RURUaikon


「・・・日本人も文句言うてるみたいやねん・・・」

darikon


「なんで日本人が文句言うの???日本人がアリエルになって欲しかったん?」


RURUaikon



「白人ちゃうかな?」

darikon


「ふ~ん・・・日本人は人種差別の歴史を知ってるの?」

RURUaikon


「真実を知ってる人は少ないかもね・・・」

 2023年5月、ディズニーのアニメ「リトルマーメイド」が実写映画化される。 
 主演に抜擢されたのは、黒人シンガー、女優のハリー・リン・ベイリー(Halle Lynn Bailey)だ。 
 9月9日、予告編が公開されると、高評価(Like)50万人に対し、低評価(Dislike)は100万人という数字を示した。
 そして、その数は増え続け、数日後には150万人を超えた。

 低評価の理由は、主人公、アリエルの肌の色だ。

 「どうして黒人がアリエルを演じるの?」
 「海の汚染につながるわね」
 「私の娘は、黒人が演じるアリエルを観ないわ!」
 「黒人は泳げないと思っていたけど・・・あ、だから海底にいるのよね」
 「ホワイト・ライヴス・マター!」
 「これは100%デンマーク(アルデンセン)のおとぎ話だ!ヨーロピアン(白人)の文化を盗むな!!」
 コメント欄には、辛辣な言葉が延々と続く。

 

 政治コメンテーターのマット・ウォルシュは、
 「人種差別ではなく、深海にいる人魚がダークスキンというのは、非科学的だ!」 
 と、真顔で解説していた。

 「ハリーは、自分のキャリアのことだけを考える、自己中心的な女だ!」
 と、彼女の性格、人となりを攻撃するYouTuberもいた。
 
 冷静になって欲しい。
 これはおとぎ話で、アリエルは“白人”ではなく、“人魚”だ。
 科学的に解説する必要もないし、白人である必要もない。
 
 なぜ白人は、こんなことで大騒ぎをしているのか?
 何を、怒っているのか?

 答えは“恐怖”だ。 

 アメリカの白人至上主義者は、黒人大統領が誕生したその日から、パワーの逆転に怯えている。

〇白人が黒人から奪ったもの

「アリエルは“白い肌”だから白人が演じるべきでしょ?どうして黒人は、白人から何もかもを奪うの?!」

 ・・・そうだろうか?

 1956年の映画“征服者”で、モンゴル人のジンギス・カーンを演じたのは、ジョン・ウェインだ。
 1963年“クレオパトラ”で、エジプト人のクレオパトラを演じたのは、エリザベル・テイラーだった。
 2012年“アルゴ”は、イランから6人の人質を救出したCIAエージェント、アントニオJ.メンデスの話だ。
 メキシコ人の主人公、アントニオを演じたのは、ベン・アフレックだ。
 2014年“エクソダス:神と王”は、旧約聖書のエジプト記をベースにした映画だ。
 モーゼを演じたのは、クリスチャン・ベイルだ。
 同年にリリースされた“ノア:約束の舟”も旧約聖書のノアの箱舟が基になっている。
 主人公のノアに抜擢されたのは、ラッセル・クロウだ。
 2016年“エリザベス、マイケルマーロン”では、ジョセフ・ファインズが黒人の大スター、黒人のプライド、マイケル・ジャクソンを演じた。

 これまで黒人、有色人種のヒーローやヒロインのキャストを奪ってきたのは、白人だ。
 しかも、これらはおとぎ話ではなく、実話や聖書をベースにした作品だ。
 信実を歪めた、こちらの作品の方が、問題は深刻だと思うけど。

 とはいえ、白人至上主義者の思考は異なる。
 彼らには、他の人種より優れている白人が、権力を保持し、その他の人種を支配するべきだ、という信念がある。
 その信念を基に、ハリウッドをはじめ、あらゆるビジネスを支配してきた。

 映像の影響は大きい。

 ヒーロー、ヒロイン、キングやクウィーンを演じる白人に対し、人々は、“勇敢”“正義”“美”“聡明”というポジティヴなイメージを抱いた。
 これに対し、召使やギャングを演じる黒人のイメージは、“暴力的”“醜悪”“愚昧”というネガティヴなものだ。

 彼ら白人は、キャストを自由に操り、黒人から“善”のイメージを奪い去った。

 白人至上主義者が黒人から奪ったもの、奪い続けているものは、イメージだけではない。

 パワーだ。

 政治を支配するために、黒人有権者を弾圧し、党利党略のために選挙区改訂を行った。
 ビジネスで成功できないよう、金融機関は貸付金の利息を過剰に設定し、融資対象から黒人を除外した。
 黒人の教育機関を財源不足にするシステムを作った。
 下層住宅の高級化を図り、家賃を上げ、住民に立ち退きを迫った。結果、より治安の悪い場所への引っ越し、生活の崩壊、ホームレスを生み出した。
 警察官による黒人への暴力を正当化し、不法逮捕により黒人の社会復帰を妨害した。

 彼らはあらゆる方法で、黒人からパワーを奪いとるシステムを作り上げた。

 それでも、影響力のある黒人指導者は現れる。 
 公民権運動指導者のキング牧師をはじめ、急進的黒人解放指導者のマルコムX、ミシシッピ州公民権活動家のメドガー・エヴァーズ、ブラックパンサー指導者、フレッド・ハンプトン、数え始めたらキリがない。

 白人至上主義者は、彼らを殺害、国民から指導者を奪い去った。

 白人の中には、奴隷解放後、解放奴隷に権利を与えようとした政治家もいた。
 けれども、白人至上主義者は、黒人が法的、政治的、経済的、社会的に力を持つことを許さない。 
 1868年ルイジアナ州オペルーサス虐殺、1873年ルイジアナ州コルファックス虐殺、1874年アラバマ州選挙暴動、1898年ノースキャロライナ州ウィルミントン暴動、1920年フロリダ州オコイー虐殺は、選挙、政権妨害を目的に、黒人コミュニティを攻撃した事件だ。 

 黒人が、平和で豊かな黒人だけのコミュニティを築いたこともあった。
 しかし、黒人コミュニティが経済力を持ち、力をつけることを恐れた白人至上主義者は、コミュニティを破壊した。
 1921年オクラホマ州タルサ人種虐殺、1923年フロリダ州ローズウッド虐殺だ。

 彼ら白人はパワーを維持するために、黒人コミュニティを焼き尽くし、破壊し、黒人から家、財産、土地、そして、数百人、数千人もの黒人の命を奪ってきた。

 しかしながら、これらの事件が知られるようになったのは、つい最近のことだ。
 
 なぜか?

 世界のメディアは白人至上主義者によって支配されているからだ。

darikon


「白人は自分たちのパワーを維持するために、黒人の居住地に爆弾落としてんで!黒人女性をレイプして、子供も殺すねんで!最低やん」


RURUaikon



「それでも事実を隠したり、嘘ついたり、そういう才能はあるよね~」



darikon


「俺ら、インターネットに救われたで。そのうち全部がばれるで」

RURUaikon


「やった~!」

〇人種構成の変化

 1619年にアメリカの奴隷制が開始してから約500年だ。
 白人至上主義者は、彼らのパワーを維持するために、すべてを支配し、歴史を歪め、信実を隠匿してきた。

 それにも関わらず、黒人大統領が誕生した。
 
 なぜか?

 白人人口が減少し、その他の人種が増加したからだ。

 白人は子供を産まなくなったけれど、黒人やヒスパニックは子供を産み続けている。
 異人種間の結婚も増加した。
 現在、アメリカ国内の人口比率は、白人51%、それ以外の人種が49%だ。
 2043年までに、この国の白人人口は47%以下になり、マイノリティとメジョリティの転換が起こると言われている。
 
 世界の67%の国のメジョリティが有色人種であることを考えると、これは自然な流れだろう。

 ところが、白人至上主義者はこの事実を受け入れることができない。
 黒人がパワーを得ることにより、黒人による白人支配が始まると考えた彼らは、 パワーの逆転を恐れ、理性を失った。
 2021年1月6日に起きた、アメリカ合衆国議事堂襲撃事件がその典型的な例だ。

 彼らのそもそもの間違いは、黒人は支配したいのではなく、平等な権利を求めている、ということだ。

 差別撤廃のために活動し続けているジェーン・エリオットは、黒人がリスペクトする白人教育者だ。
 
「白人は、いい加減に嘘を教えることをやめなさい!
 人種差別が解決できない原因は、白人が特別だからではありません。
 白人が“無知”だからです!
 白い肌は優れていることを示すものではありません。白い肌は、単にメラニンが不足しているだけです。
 ホワイト、ブラック、イエロー、ブラウンというカテゴリーが作られていなければ、私たちは“人間”というひとつのカテゴリーでした。
 彼ら黒人は、私たちに仕返しするつもりなんかありません!
 過去の責任は誰にもありません。私たちが負うべき責任は、現在と将来です!
 白人は、自分たちが特別ではないという事実を学び、受け入れ、この問題をいいかげんに解決しなさい!」

 ジェーン・エリオットに賛同する白人は年々増えている。
 けれども、事実を受け入れられない白人が、パワーの逆転を恐れ、これまで以上に行動が過激になっていることも事実である。

 今回の、ハリーに対する攻撃は、パワーの逆転に対する恐怖がなければ、もっと大らかなものだっただろう。 
 
ディズニーの反応

 現在、黒人セレブリティが、若いハリーを攻撃から守り、応援、援護している。
 ところが、ディズニーはこの件に対して何もしない。
 ディズニーが本当に人種差別に対して立ち上がったのであれば、政治的キャンペーンを実施し、彼女を援護しただろう。
 今回のキャスティングで、ディズニーがBLM運動、人種構成の変化を意識しなかったとは思えない。
 世界のディズニーは、イメージを守り、興行利益をあげるために、黒人のハリーを抜擢したんだろうな。

大人がするべきこと

 日本でも、今回のキャスティングに不満を持っている人がいるらしい。
 ハリーの歌を聞いたことがあるのだろうか?
 日本人は、黒人より優れていると思っているのかな? 
 白人と同じ位置から、黒人を見ている人もいるのかもしれない。

 知っておいて欲しい。
 ハリーを攻撃している白人至上主義者にとって、私たち日本人はカラードであり、ハリーと同じ黒人のカテゴリーに入る、ということを。
 そして、メディアや映画の嘘の情報に、自分の思考が支配されていないかどうか、考えてもらいたい。
 信実、正義、歴史を知らずに、誰かを攻撃、非難することは危険だ。
 力で勝利しても、人としては敗者だ。
 そして、白人至上主義者のように、パワーの逆転に怯えなければならない日が必ずやってくる。 
 
 黒人のハリーが、アリエルを演じることに文句を言っているのは、大人と、大人の影響を受けた子供たちだ。
 我々大人は、責任を持って、人種差別のない、よりよい未来をクリエイトしたい。 
 差別をされる側はもちろんだけれど、子供たちが、差別をする、貧しい心を持った大人になったら悲しいよ。
 
 
 来年5月、ハリーの美しい歌声が、世界中に響き渡り、ダークスキンのマーメイドが、多くの人々に愛されますように!


 

るる・ゆみこ★神戸生まれ。大学卒業後、管理栄養士で数年間働いた後、フリーターをしながらライヴへ行きまくる。2004年、音楽が聞ける街に住みたいという理由だけでシカゴへ移住。夜な夜なブルーズクラブに通う日々から一転、一目惚れした黒人男性とともに、まったく興味のない、大自然あふれるシアトルへ引っ越し、そして結婚へ。
                                                          https://happysmileyface2.blog.jp/