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darikon



「またシューティング?」


RURUaikon


「う~ん・・・。今度はテキサス州」

darikon


「くそっ!だからテキサスは嫌いやねん!シューティングばっかりや!」


RURUaikon



「今度は子供たちが被害者やねん・・・」



darikon




「なんで子供たちが大人のせいで殺されなあかんねん!あいつら議員は、正しいことができんのかっ!子供たちが殺される国なんか、大嫌いや!!!」



 テキサス州ユーヴォーデ郡のロブ小学校で、銃乱射事件が起きた。2022年5月24日のことだ。  今度の犠牲者は19人の子供たちと2人の女性教師だった。犯人はサヴァドゥ・ラモース(Salvador Ramos)、18歳だった。  この日、午前11時半、教師のアーマ・ガルシアは「ライフルを持った男が校舎内にいる」という連絡を受けて、すぐに教室に走った。  しかし、その扉の前には、すでにラモースが立っていた。
「おやすみ」  とミセス・ガルシアに言うと、銃を放った。  教室に入ってきた犯人は、 「死ぬときがきたよ」  と言うと、子供たちに向って銃を乱射した。  そして、犯人は次の教室へ向かった。  銃撃犯とともに、校舎に取り残された子供たちは、必死で外部に助けを求めた。
 生徒のひとりは、亡くなった先生のポケットから携帯電話を取り出し、911をした。それが犯人に見つかってしまい、彼女は被害者のひとりになった。   撃たれた子供の血を体にぬって、1時間以上も死んだふりをして助かった生徒もいる。  BORTAC(国境警備隊戦術部隊)が突入して、ラモースを射殺。子供たちを救出したときは、すでに最初の通報から1時間20分も経過していた。
 
ユーヴォーデ警察官が現場へ到着したのは、ほんの数分後、11時33分だ。
 ところが、十分な装備がないという理由で、応援を待つことになった。  学校に集まってきた子供たちの親は、警察官が突入しないのであれば、自分たちを「中に入れてくれ」と必死で懇願した。
 しかし警察はそれを許さなかった。彼らがしたことは、子供たちの救済ではなく、我が子を救うために中へ入ろうとした親に対し、テイザー銃を打ち、手錠をかけ、タックルをし、そしてペッパースプレーをかけることだった。
 12時頃には20人近い警察官が現場にいた。彼らは皆、防弾ベストを着用し、ライフルを肩に担いでいる。
 警察官の中には、突入できないことに憤りを感じていた者もいた。けれども、命令に従うしかなかった。  12時10分にマーシャルが、その10分後にはBORTAC、続いて、HIS(米国移民関税執行局)が到着した。警察は彼らに待機を要求した。中にいる犯人は銃撃犯ではなく、人質をとった立てこもりと判断したからだ。  彼らが到着から30分が経過したとき、BORTACのメンバーは、命令を無視することを決断、内部へ突入し、犯人を射殺した。
 事件後の記者会見で、テキサス州公共安全局ディレクターの
スティーヴン・マクロウは、

「待機の判断は間違っていた」

 と声を震わせた。警察官はすぐ校舎に入って、犯人の意識を子供たちから自分たちに向けなければならない。それが彼らの職務だ。  
スティーブ・マクロウの顔を覚えている人は少なくない。2000年以降、テキサス州で起きた銃撃事件は18件だ。マクロウは、そのたびにテレビで記者会見を行っている。  
なぜ、警察は子供たちを1時間以上も救済しなかったのか?
 なぜ、18歳の青年が大量殺人を起こせるのか?  なぜ、次から次へと起こる銃犯罪を止められないのか?
 多くの人がその答えを知っている。

 銃犯罪の根源は、政治家、実業家たちの金と権力に対する欲望、そして保身だ。子供たち、これまでの銃犯罪の被害者は皆、私利私欲にまみれた、そんな大人の被害者だった。 それにしても、なぜ、テキサス州で銃犯罪が多いのか?  答えは簡単。  テキサス州は銃規制に反対している州なのだ。例えば、NFA(殺傷能力の強い)武器を含むライフルの購入条件は、18歳以上ということのみ。拳銃は21歳以上だ。銃の購入、携帯のために、許可やライセンスを取得する必要もなければ、バックグラウンドチェックも要求されない。  今回の犯人、サヴァドゥ・ラモースは、18歳の誕生日を指折り数えて待っていた。彼のインスタグラムには、欲しいものリストとして、ライフルの写真が投稿されていた。  そして誕生日の翌日、ラモースはついにセミオートマティック・ライフルを購入、3日後には、また別のライフルを購入している。その写真はインスタグラムに投稿された。   銃規制法が厳しければ、ラモースの犯罪は阻止できただろうか?・・・可能性は十分ある。  彼には犯罪歴はもちろん、精神疾患のヒストリーもない。けれども彼は、夜中に友人と出かけては、ドライブをしながらBBガンで人を撃つ、卵を投げつける、などの行為を繰り返していた。  YUBOというSNSのライブストリーミングでは、猫などの動物を虐待する様子を投稿している。  SNS上にいる女の子に対し、誘拐して、レイプすると脅したこともある。  学校を銃撃するとも言っていた。さらに、誕生日の10日後に、なんらかの行動を起こすことも示唆していた。  とても彼が正常な精神の持ち主だとは思えない。
 SNSの管理者は、これら投稿内容を警察に報告している。ところが、警察はこの報告に対し、アクションを起こしていない。  仮定の話、犯人の奇行やSNSの投稿内容が警察によってファイルされ、テキサス州に銃購入時のバックグラウンドチェックがあったとしたら、ラモースが銃を手に入れることはなかった。それ以前に年齢制限がもっと上だったら、彼は銃を購入していなかった。  テキサス州の銃規制法が現行のものより厳しければ、19人の子供たちは命を落とさずにすんだかもしれないのだ!
 学校内で最低1人は撃たれた銃犯罪事件を、G7(アメリカ、カナダ、イギリス、日本、フランス、ドイツ、UK)で比較したデータ(2009-2018)がある。1位は288件のアメリカで、2位は2件のフランスとカナダだ。288件という数字は、2位以下5か国を合計した数の約57倍だった。  一般市民が銃を持たなければ、銃規制が厳しければ、銃犯罪が起こらないことは、このデータで証明されている。それにも関わらず、この銃規制に反対し続けている人間がいる。  テキサス州のテッド・クルーズ上院議員はそのひとりだ。その理由は明らかだ。彼はNRA(全米ライフル協会)から金を受け取っている。  その他、ノース・キャロライナ州のリチャード・バー(Richard Burr)、ケンタッキー州のミッチ・マコーネル(Mitch MacConnell)、ミズーリ州のロイ・ブラント(Roy Blunt)、フロリダ州のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)、オハイオ州のロブ・ポートマン(Rob Portman)、インディアナ州のトッド・ヤング(Todd Young)ルイジアナ州のビル・キャシディ(Bill Casidy)、アーカンサス州のトム・コットン(Tom Cotton)、ユタ州のミット・ロムニー(Mitt Romney)などの共和党上院議員も多額の献金を受け取っている。  5月27日から29日まで、テキサス州のヒュートンで、NRAの年に一度の会合が開催された。メンバーはこの日、銃について語り、銃を賞賛し、購入し、憲法修正第二条の武器を持つ権利を称えた。   憲法修正第二条とは、「規律ある民兵団は、自由国家の安全のために必要であるから、市民が武器を保有、携帯する権利を侵してはならない」というものだ。要するに、己の命ではなく、自由を守るためにアメリカ国民は武器を持つ。銃は自由国家の象徴なのだ。この憲法は、アメリカの白人社会の原点で、1787年から現在に至るまで機能し続けている。  そのような会合に、事件から3日しか経っていないにも関わらず、テッド・クルーズは参加した。
「テキサス州で子供たちが亡くなったのに、あなたはなぜここにいるのですか!?銃規制によって今回の事件は防げたとは思わないのですか!?」  と詰め寄った記者に対し、彼は、 「バックグラウンドチェックで、犯罪をストップすることはできない!」 「犯罪者だけが銃を持ったら、もっと多くの子供たちが殺される!」 「アメリカに移民が多いのは、最も自由で安全な国だからだ!」  と憤った。なるほどと思うことは、なにひとつ言っていない。言えないからだ。  また、あるメンバーのスピーチは、あまりにもお粗末で呆れかえった。 「銃乱射事件があるたびに、ウェイン・ラピアWayne LaPierre:NRAの最高経営責任者)を攻撃する左翼とメディアに、私はうんざりしている・・・ウェイン・ラピアは常に、亡くなったご家族に、“我々の思いと祈りはあなたと共にあります”とお悔やみの言葉を述べている・・・“思いと祈り”“祈りと思い”・・・。我々の“思いと祈り”がもう少し深ければ、シューティングは止められるのです!!!」  ・・・もう少しマシなスピーチは思いつかなかったのだろうか?こっちがうんざりだ。銃がなくなればシューティングは起こらない。これ以上シンプルな解決はない。そしてそのことは、彼ら自身もわかっている。  彼らNRAのメンバーは、銃製造会社や銃愛好家の団体だ。  銃製造会社のDaniel DefenseやSmith&Wessonの製品は、過去のシューティングで何度も使用され、人々の命を奪っている。
 ラモースが購入した銃も、これらの会社の製品だ。Mollenhourは弾薬メーカーだ。
 今回の事件では使用されていないけれど、コロラド州の映画館銃乱射事件(2014年)や、テキサス州のサンタフェ銃乱射事件(2018年)で使用された弾薬はここで作られたものだ。  銃犯罪が起こるたびに銃の売り上げは上昇する。Mollenhourの株式も上昇中だ。銃規制の実施は、彼らのビジネスにとって打撃となる。  そこで彼らは政治家に金を渡し、法律をコントロールする。「NRAという圧力団体と政治家」、「金と権力」、相互の利益がここで成立する。
 我が家では時々、テレビ観戦中にダンナのプリーチングが始まる。

darikon


「金は人間をダメにする!この国は金のことばっかりや!」


RURUaikon


「たしかに!」

darikon


「金はいるけど、金に支配されたら大事なことがわからんようになる!」


RURUaikon



「そのとおり!」



darikon




「金で人をコントロールする奴も、される奴もあかん!」



RURUaikon


「ごもっとも!」

darikon


「金のために人殺したり、暴力ふるう奴なんか、偉くない!俺はそんな奴らの奴隷にはならんっ!」


RURUaikon



「・・・拍手・・・」



   さて、バッファローの銃撃事件以降、毎日のように続く銃犯罪に、国民の政府に対する怒りは募るばかりだった。そして今回の事件だ。  このとき国民の怒り、憤りを、ぶちまけてくれた人がいる。
   ゴールデンステイツ・ウォリアーズのスティーヴ・カー(Steve Kerr)監督だ。 


「今日はバスケットボールの話はしない!特に変わったことはないし、我々はこれまで通り試合に臨む!  私たちが朝の練習を終えた後、ここから400マイル離れた場所で銃乱射事件があった。この前はバッファローでお年寄りが殺され、今日は子供たちが殺された!  いつになったら行動を起こすんだ!!家族にお悔やみを述べるのも、言い訳を聞くのも、黙とうをするのも、もううんざりだ!!!  自分たちの権力を守りたいがために、銃購入時のバックグラウンドチェックに反対し続けている上院議員が50人もいる!  国民の9割が銃規制を求めているにも関わらず、彼ら議員は投票しようとしない!  もうたくさんだ!いいかげんにしてくれ!!!」  試合前のカンファレンスで、スティーヴ・カー(Steve Kerr)は、机を叩きながら、体を震わせながら、その怒りをあらわにした。

darikon


「スティーヴ、ええぞ!言うたれっ!その通りや!なんで他の奴らは黙ってるねん!」


RURUaikon


「ほんまやっ!選手全員が言うたらええねん。NBAは成り立たへんよね!」

darikon


「もし、NBAが辞めさせるって脅してきたら、全員ヨーロッパで試合したらええねん!俺は、脅してコントロールするような奴のために、試合はせえへんぞっ!」


RURUaikon



「困るのはNBAやぞ~っ!」



darikon




「ゴールデンステイツの選手は、スティーヴを誇りに思ってるぞっ!!!俺はお前を誇りに思う!!!」



 NBAをはじめ、MLB(メジャーリーグ)、NFL(フットボールリーグ)、NHL(ホッケーリーグ)のコミッショナーはすべて白人だ。そしてこれらのスポーツは、白人ファンの支持で成り立っている。したがって監督や選手は、リスクを背負う覚悟なしで、このような政治的発言はできない。  しかしスティーヴ・カーは、はっきりと上院議員を否定した。  素晴らしい!!!
 組織に所属するとリスクを恐れて、正しい判断ができなくなったり、正しいとわかっていても、意見を貫けなくなることがある。  しかし、スティーヴ・カーは、たったひとりで立ち向かった。  BORTACは自分たちの判断で校舎に突入した。  少し前の話になるけれど、NRAに立ち向かった議員もいる。  フロリダ州知事のリック・スコットは、2018年に起きたパークランド高校銃乱射事件の後、銃器の購入を18歳から21歳に引き上げた。そして銃購入に3日間の待期期間を課し、「赤旗法」法案にサインした。「赤旗法」とは、他人と自分自身に危険を与える可能性のある人物から銃器を撤去できる法律だ。NRAはリックを「裏切者」と罵倒し、ポジションをAからCに落とした。  しかしこのとき、99人中75人の共和党議員がリックを支持した。州民の命には代えられない。  現在、フロリダ州の銃犯罪は、銃規制、特に赤旗法により減少傾向を示している。結論を言えば、法をコントロールする力はNRAではなく、議員にある!  スティーヴ・カー、BORTACのメンバー、リック・スコットと他の議員たち、彼らは皆、リスクを背負う覚悟で、自分が正しいと信じることをした。  次はバイデン大統領の番だ。大統領は、銃規制が前進しないとメディアに愚痴を言っている場合ではない。毎日300人以上の国民が銃犯罪によって命を落としている。これは国家的問題だ。  銃規制を強引に進める力があるのは、この国で最高権力を持つ大統領だけだ!  連邦議会で無効にされる可能性もある。時期選挙で勝てない可能性もある。1月6日同様の暴動が起こる可能性ももちろんある。しかし、続く銃犯罪に、銃規制を検討している共和党議員は実際にいる。動くのは今なのだ!  権力維持のことしか考えない議員ではなく、命を守るために銃規制を望んでいる国民のために、大きな一歩を踏み出して欲しい。  スティーヴが言ったように、今回は、お悔やみの言葉など薄っぺらすぎて、それを述べることすら憚られる。  遺族、恐怖を体験した子供たちに救いの手が差し伸べられ、彼らの心が少しでも癒されること祈るばかりだ。  正しいことを貫けば、必ず味方は現れる、と信じられる社会になりますように!そして、恐れることなく正しいことをする人が増えて、世の中が正しい方向へ進みますように!


  

るる・ゆみこ★神戸生まれ。大学卒業後、管理栄養士で数年間働いた後、フリーターをしながらライヴへ行きまくる。2004年、音楽が聞ける街に住みたいという理由だけでシカゴへ移住。夜な夜なブルーズクラブに通う日々から一転、一目惚れした黒人男性とともに、まったく興味のない、大自然あふれるシアトルへ引っ越し、そして結婚へ。
                                                          https://happysmileyface2.blog.jp/