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「近所に子供が少なかったこともあるけど、同級生がほとんどやなぁ」

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「みんな同じ苦しみの中におるから、俺ら黒人の結束力は強いで。ダディーの葬式のときも、近所の友達、全員来たやん」



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「確かに。集合写真の人数、すごいよね。みんな、その町から出ていかへんの?」

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「おれは家が嫌いやったから出たけど、自分が育ったコミュニティが一番安全やし、安心やん。違うコミュニティの人は信用できへんし、どんな警察官がおるかもわからんやろ」



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「そっか。シアトル警察のことを知らんかった頃は、怖かったもんね」

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「おれら黒人は常に、一歩外に出た瞬間から命がけやで」



 もうすぐジョージ・フロイド氏が亡くなって2年になる。  2年前の5月25日にSNSで拡散された映像は、多くの人々に衝撃を与えた。警察官の黒人に対する暴力に対し、黒人はもちろん、白人、アジア人、多くの人々が立ち上がった。そして、「BLACK LIVES MATTER」運動は世界に広がった。  しかし、現在も警察官による暴力は続いている。警察組織の体質は、そう簡単には変わらない。  データによると、2021年だけで203人の黒人が警察官によって殺害されている。    この数はジョージ・フロイド氏が亡くなる前とほとんど変わっていない。  ジョージ・フロイド氏が殺害されたミネアポリス署も、改善された気配はない。  2022年2月22日早朝、カウチで眠っていた黒人のアミア・ロック(Amir Locke)(22歳)は、いきなり侵入してきた警察官によって射殺された。  警察官のターゲットはアミアではなく、ティーンエイジャーのいとこのはずだった。未来ある青年の命を奪ったにもかかわらず、警察官は「証拠不十分」「合理的疑い」で無罪になった。  4月4日、ミシガン州グランドラピッズ。コンゴ移民のパトリック・リオヤ(Patrick Lyoya(26歳)が、警察官に射殺された。交通違反で停車を求められたパトリックは、警察官の命令に従わず、質問の途中で立ち去ろうとした。取っ組み合いの末、パトリックをうつ伏せに押さえつけた警官は、彼の後頭部に銃を放った。
 彼は武器を携帯していなかった。頭を撃つ必要はなかったはずだ。
 彼を撃った警察官は有給で休暇を取っており、名前も公表されていない。グランドラピッズ警察署は、黒人に対する暴力、虐待が激しいことで知られている。  バイデン&ハリス政権になって、変わると思ったのになぁ。  の最近のニュースは、ウクライナ支援と、警察資金援助のことばかりだ。警察資金は削減の予定だったのに、大統領はすでに350億円も援助している。    「問題は資金削減ではない!警察官を採用しなさい!トレーニングをしなさい!残業手当を払い、犯罪撲滅に必要なテクノロジーを購入するために、この資金をどんどん使いなさい!そして、コミュニティをサポートしなさい!」  ということらしい。  けれども現実には、警察官は相変わらず黒人を殺し続けているじゃないか!  しかも、そのほとんどが、死に値しない小さな交通違反が原因だ。 「警察官の体質は・・・

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・・・」と叫びたい。    とは言うものの、
バイデン&ハリス政権だからこそ達成できたことも、実はいっぱいあるのだ。  3月29日、人種差別によるリンチを、連邦法で憎悪犯罪と認める法案が成立した。その法案は、「エメット・ティル反リンチ法」と命名された。  1955年、14歳だった黒人のエメット・ティルは、2人の白人男性のリンチによって殺害された。人種差別の激しいミシシッピ州で起きたこの事件の裁判の陪審員は全員白人。判決は全員一致で無罪だった。
 活動家の努力により、この事件の再審は、これまでに何度か行われたけれど、無罪判決は覆されていない。 「リンチは過去の出来事ではなく、60年以上経った現在も続いている!」
 
ジョージ・フロイド氏の事件はリンチ以外のなにものでもなかった。  エメット・ティルのケースは、未だにリンチとして認められていない。けれどもこのような虐待行為や暴力を、「エメット・ティル反リンチ法」として起訴できるようになったことは、飛躍的な進展である。  4月7日、連邦最高裁判事に、黒人女性のケタンジ・ブラウン・ジャクソン(Ketanji Brown Jackson)が就任した。米国歴史上はじめてのことだ。大統領は、退任予定のリベラル派、スティーヴン・ブライヤー判事の後任として、ジャクソン氏を指名していた。現在、保守派6人、リベラル派3人という構成の最高裁に、黒人で、しかも女性のジャクソン氏が就任する。

 素晴らしいなぁ。黒人女性を最高裁判事に指名することは、大統領就任時の公約だった。  4月13日、合衆国司法省は、法執行機関(警察組織)に対する、4件の民事訴訟請求を解決することに同意した。これら4件の訴訟は、2020年6月1日からワシントンDCで行われた、
ジョージ・フロイド氏殺害事件の抗議運動における、各警察組織の暴力的対応から生じた。  和解の一環として、抗議運動があったラファイエット公園を管轄するパークポリスと、シークレットサービスは、30日以内に抗議運動の管理、及び、各警察組織間の連携に関する方針を改正し、実施することに同意した!!!!! 「・・・ふ~ん・・・」
 という程度にしか思えないかもしれない。けれども、政府が法執行機関に踏み込んだこと、方針改正に至ったことは、称賛に値する前進である!!!  司法省は刑務所システム、コンディションの調査、囚人の人権獲得にも乗り出した。  つい先日のことだ。ミシシッピ州刑務所の内部環境を撮影した映像が公開された。  コンクリートの床は常に水浸しで、壁は剥がれ、カビが生えている。シャワー、トイレの水は出ず、腐った食事を与えられることも珍しくない。歯ブラシも与えられていない。  彼らが人間以下の扱いを受けているこの映像を観れば、刑務所内における囚人の自殺や、喧嘩、病気による死亡が多い理由に納得がいく。特にアメリカ南部の刑務所は極悪だ。そして、その環境は1960年代となにも変わっていない。  また、オクラホマ州、テネシー州、ワシントン州、ケンタッキー州、イリノイ州、サウスキャロライナ州、マサチューセッツ州では、看守の囚人に対する暴力が明らかになった。例えばオクラホマ州では、看守のひとりが、白人至上主義の囚人の牢屋に、黒人囚人を入れ、囚人たちに暴力をふるうよう命令していた。  現在、囚人に暴力をふるわせた看守が牢屋の中にいる!!!  これら刑務所内の環境、看守の管理業務の改善に着手できるようになった理由は、司法省公民権課がパワーを得たからに他ならない!現在、その公民権課の指揮をとっている人物が、昨年5月に大統領指名で司法省へ入省した、黒人女性の
クリスチャン・クラーク(Christian Clarke)だ。有色人種が、しかも女性が公民課をリードする。歴史上はじめてのことだ。バイデン&ハリス政権が公民権、選挙権、警察組織改革をする上で、クリスチャン・クラークはなくてはならない存在、この政権のキーパーソンなのだ。  さて、問題は、これらバイデン&ハリス政権の活躍について、ほとんどの人が知らないことである。司法省がこれら事実を公開したのも、つい二週間前だ。11月8日の中間選挙を意識してのことだろう。

 しかし、公開はされたものの、ウクライナや警察資金援助のように、メディアがこれらの記事をヘッドラインで取り上げることはない。  国民の約55%は警察の組織改善を願っている。けれども白人の70%は、彼らのために、ただちに駆け付けてくれる警察を必要としている。
バイデン大統領は、この70%の票を失うわけにはいかない。資金援助が必要な理由だ。そして、メディアのターゲットもこの70%の国民だ。  しかし、中間選挙で共和党が勝利することがあれば、その瞬間から司法省公民権課はパワーを失う。ホワイトハウスは、クリスチャン・クラークの存在、活躍をもっともっと人々に知らせなければならない。事実、現時点における、若者のバイデン支持率は低下している。  前大統領、トランプの強みは、自分のしたこと、していないことまで、Twitterで言いまくったことだ。彼は二年間の就任期間で、トランプ支持者、白人至上主義者、右翼主義者のプラウド・ボーイズの結束力を高めた。その結果が、2021年1月6日の合衆国議会議事堂襲撃事件だった。SNSの効果は、絶大なのだ。  近頃は、ホワイトハウスの記者会見を観る人なんて、ほとんどいないと思う。新聞を読む人も減っている。コンピューターや携帯でニュースを確認する人は多いけれど、トップニュースは、メジャーのメディアに支配されている。  ここはトランプを見習って、バイデン&ハリス政権もSNSを利用し、メディアが報道しない内容を、歴史的進展をどんどん、派手に公開していただきたい。黒人セレブリティがそれらをシェアしたら、必ず効果は現れる。黒人コミュニティの結束力は強いのだ。  多くの人々が政治に興味を持ち、選挙へ行き、様々な人種が政治に関わっていく。人種差別主義者の思考を変えることはできないけれど、法律は変えられるはずだ。  時間はかかるけれど、これが一番早く、そして確実な方法なんじゃないかな。  バイデン&ハリス政権の今後の活躍に期待している。  警察官の黒人に対する暴力がなくなり、彼らが安心して外を歩ける日が訪れますように!  この国の人種差別が、世界のあらゆる差別が、歴史上からなくなる日が訪れますように!


 

るる・ゆみこ★神戸生まれ。大学卒業後、管理栄養士で数年間働いた後、フリーターをしながらライヴへ行きまくる。2004年、音楽が聞ける街に住みたいという理由だけでシカゴへ移住。夜な夜なブルーズクラブに通う日々から一転、一目惚れした黒人男性とともに、まったく興味のない、大自然あふれるシアトルへ引っ越し、そして結婚へ。
http://blog.livedoor.jp/happysmileyface/